子どもたちが生きていることに誇りと喜びを持てる地域社会を

神奈川子ども未来ファンド

MENU

2005年度 日産NPOラーニング奨学生によるNPOレポート

神奈川子ども未来ファンドは、日産自動車が実施する社会貢献プログラム「日産NPOラーニング奨学生制度」に協力し、学生の受け入れを行いました。2005年度インターン生、関幸恵さんには、ファンドの助成対象団体への定期訪問に同行してもらいました。関さんによる助成対象団体をはじめとするNPOのレポートをご紹介します。

第1弾
うさぎ山プレイパークに行って
第2弾
鎌倉中央公園に行って
第3弾
ままとんきっずに行って
第4弾
たまりばフェスティバルに行って
第5弾
びーのびーの訪問レポート
インターンが終わって

神奈川子ども未来ファンド2005年助成対象団体うさぎ山プレイパークに行って

ホームページをのぞかせてもらっただけでもわくわくすることばかりが載っていて、伺うのが楽しみでした。そして、実際見学して感動しました。

私にとって「公園」というと、ブランコや滑り台などの遊具が置いてあるこじんまりとした遊び場という印象が強いです。大きい公園であれば、だいたいグラウンドがあり、まわりに植物が植えられていたり小さな噴水があったりします。一見遊ぶには申し分の無いように思われますが、このうさぎ山に一度来てしまったら、物足りなさを痛感するでしょう。

まず、環境が大きく違います。うさぎ山は木々の中に遊び場があるので、まるで森の中にいるようです。木々が直射日光を防ぐので、夏でも比較的涼しい中で遊ぶことができます。子どもたちが使う遊具は手作りということで、素朴な温かみを感じることもできました。

一番印象的だったのは、私の住む地域ではよく聞かれる「~しちゃだめでしょ」というような規制や制限をする声かけを、ここでは聞くことが無かったということです。そのような言葉が無いということは、自由に遊べる半面危険が伴います。見学させていただいた時も、子どもたちの受け入れをする前に安全点検をしていました。

そのような配慮に加えて、子どもの視点で遊びについて考えること。言い替えれば、子どもがどんなことに興味を持ち、どのように遊びを広げていくかといったことにアンテナを常に張って、子どもたちと遊ぶ。このことにより、子どもからはもちろん、お母さん方にも信頼される何よりもの理由なのだと思いました。プレイリーダーが信頼されているからこそ、自分の力で自由に遊ぶということをモットーに異年齢の子どもが一緒になって、のびのびと遊ぶことができるのでしょう。夢中になって遊んでいる子どもたちを見てうらやましいとも思いました。

それに加えてここには、公園デビューという言葉が無いくらいお母さん同士の雰囲気が良かったです。ある乳児の子どもを持つお母さんから「子どもがまだ歩けなくてもここに連れてくるだけでほかの子と遊べるし、外に出ない日と比べて子どもの睡眠時間が全然違う」という声も聞くことができ、お母さんたちにとっても参加しやすい場であるとともに、便利な場なのではないかと感じました。お母さん同士で情報交換でき、子育ての悩みを話すことができるところもこのプレイパークの魅力なんだと思いました。

しかしながら、運営していくことは苦労の連続であることも世話人の方のお話から見えました。課題はたくさんあると思うし、現実は厳しいとは思いますが、是非続けていってほしいと一市民として心から感じました。そして、このようなプレイパークが無い地域や都市に、広めていってほしいとも感じました。

鎌倉中央公園に行って

モノレールを降りて、住宅地の間を抜けていくと、緑が生い茂っている所に着きました。

私は恥ずかしながら、「谷戸と里山」がどのような所なのかを知りませんでした。伺う前にホームページを覗かせていただいて写真を拝見しましたが、伺ってみて驚きました。

また、活動場所がわからないぐらいの広さの自然の中で遊ぶことができる環境が、鎌倉にもあることがとてもうらやましく思いました。私が育ったところは東京の端ですが、緑があっても人工的なものばかりで、本当の自然に触れることはあまりありませんでした。

ですから、子どものうちから鎌倉中央公園のような環境の中で過ごすことができるのは、私の住んでいるような地域で育った子どもより得るものが多いと思います。そして、そういった経験ができるのも、鎌倉中央公園を育てる市民の会の方々がいてからこそのことだと改めて感じました。

伺った際、お話だけでなく、実際に草木染めの活動に参加させていただきました。

指導してくださる方々が、参加している子どもや親子のペースで作業を進めてくださったので、とても活動しやすく、心地よい時間を過ごさせていただきました。私は案外せっかちなので、そういったゆったりとした時間も必要なんだなと感じました。

草木染めで私が染めたものは、淡い黄色になりました。出来上がるのがとても楽しみでしたし、想像していたものと違いとても素朴な風合になり、なかなかのできでした。家族で参加できることが何より楽しいのではないかとみなさんを見ていて思いました。

活動していて、ふと気付いたことがありました。私と同年代の人が見当たらなかったのです。事務局の方に聞いてみたところ、大学が近くに無いせいもあり、私たちの年代だけが不足しているとのことでした。とてももったいないとことだと感じました。私は今回伺わせていただいて、貴重な体験ができました。私のように機会があればいいのだと思いますが、その機会を作るのが、なかなか難しいのだとお話を聞いていて感じました。そういったことを含め、問題は多いとは思いますが、是非続けていってほしいと切に思います。

神奈川子ども未来ファンド2005年助成対象団体ままとんきっずに行って

駅から少し迷いましたが、住宅地の中にあるサロンを見つけた時「きれいな家」という印象を持ちました。外からサロンの様子がうかがえ、中に入りやすかったです。私たちが伺った時ちょうど一組の家族がいらっしゃっていました。双子の子どもさんが玩具で遊んでいる傍らで、サロンの雰囲気を見させていただきました。少人数が集まるのにちょうどいいぐらいの広さですし、自分の家で遊んでいるような感覚なので落ち着いて遊べるようでした。子どもが遊んでいる様子を見ながら、お母さんがスタッフの方とゆっくり話すことができるというのもとてもいいことだと思いました。

スタッフの方から、ままとんきっずの説明をしていただき感じたのは、助産院と隣接していて利用者が途切れることがないということが一番の強みであるということでした。隣接する助産院で出産したお母さんたちにとっても、子育てを始めていく時、サロンがあることによって不安や悩みを話すことができる場所がある安心感を持つことができるでしょう。

サロンでは、ままとんきっずの講座としてお母さんたちが、自分の特技や経験を活かして、講師として活躍してもらっているそうです。子育てをしながら自分の特技を活かせる場があるということで、子育ての考え方も変わってくると思うし、教室を通してほかの人との関わり合いが増え、子育ての情報交換ができるので、とても良い活動だと思いました。

本も作っているということで、実際に見せていただきました。子育てマップなど、その地域に住むお母さんの視点から見ているからこそ見えてくるものがたくさんあり、面白いと感じました。

最近、4ヶ月までの子どもの世話をするヘルパーを派遣する事業も始めたそうです。とてもいい状態で活動されているように見えましたが、派遣事業となると仕事に見合ったお金を払う必要があり、財政的にきびしい面もあるのではないかとお話から感じました。

課題はたくさんあるとは思いますが、子育て支援の最前線として更なる活躍をされることをかげながら応援したいと思いました。

たまりばフェスティバルに行って

チラシをいただいていたのでフェスティバルの内容はわかっていたのですが、こんなにすごいとは思いませんでした。

「フリースペースたまりば」は、不登校・ひきこもりや非行・いじめなどで悩む本人や家族等の相談・援助活動を行なっています。電話による相談および来所による個人面談も行ない、誰もが安心して過ごせる居場所の開設と運営をしている団体です。川崎市の委託を受け、主に川崎市子ども夢パーク内「フリースペースえん」において子どもたちによるさまざまな自主企画・活動を支援しています。自分でやることを基本として、カリキュラムは設けずプログラムを自ら決めて活動しているとのことでした。自分がやってきたことを発表できる場を作ろうと、「たまりばフェスティバル」を始めたそうです。

私は残念ながら普段の活動をしている様子は団体に伺うことができていないので、どのような場所なのかわかりませんが、フェスティバルに参加している皆さんを見ていて素晴らしいところなのだなと感じました。

フェスティバルの企画からすべてをみなさんでやったということにも驚きました。練習をした成果が表れていたかは私にはわかりませんでしたが、見ごたえのある舞台と展示でした。何といってもみなさんがとても楽しそうに演劇をしたり、歌をうたったり、楽器を演奏したりしている姿が私の目に焼きつきました。みんなで一つのものを作る素晴らしさを改めて考えさせられました。長時間舞台に立って大変だったと思いますが、貴重な思い出が作れたのではないかなと思います。お疲れ様でした。来年の公演も楽しみにしています。

神奈川子ども未来ファンド2005年助成対象団体びーのびーの訪問レポート

びーのびーのは、横浜市港北区内に大倉山と菊名の二ヵ所で0~3才の子どもと親が、家と同じように思い思いに過ごすことのできるつどいの場を提供しています。私がお邪魔させていただいたのは、神奈川子ども未来ファンドの助成金を活用されている菊名ひろばでした。

アットホームな雰囲気を感じました。運営スタッフは、利用者という立場からスタッフになる方が多いということです。身のまわりに子育てのひろばがあって、子どもと遊んだりお母さん同士で話し合ったりできるということは、子育てをしている人にとっては本当に安心できるのではないかと感じました。スタッフから運営の様子を聞いて、発足から5年たった今も注目されているのは、先駆的な活動を続け、実績を残しているからではないかと思いました。

訪問した日は、あいにくの雨で、朝9時半ごろに伺ったのですが、雨の日はやはり親子の出足は遅いようで、私が見学した間では、実際に過ごしている様子は見ることができず少し残念でした。

また、学生ボランティアが活動しているそうで、保育以外を専攻する学生も積極的に参加しているというお話に、少し驚きました。大学生で私のまわりでは、「ボランティア」が根付いていないので、まわりの人たちを含め、ほかの地域でもそういった動きが広がればいいなと感じました。

ファンド事務局追記
関さんのびーのびーの訪問は2006年2月下旬に行いました。2006年3月下旬に、横浜市より運営受託した子育て支援拠点「どろっぷ」をオープンさせ、大倉山ひろばは3月に閉館しました。

インターンが終わって

この半年間、いろいろな経験をさせていただきました。その中でも、現場を見ることができたということが、私にとって一番大きかったと思います。

私自身、NPOについて知識も無くはじめはわからないことだらけでしたが、わかりやすく説明してくださりより理解を深めることができたと思います。訪問させていただいた助成団体の方々も、本当に親切にしてくださいました。実際現場で活動している方のお話を聞くということは大変貴重でしたし、自分の考えていたことを改めて見つめなおすこともできました。

また、以前にも増して積極的に動くことができるようになったとも思います。そうなったのも、事務局はじめボランティアの方たちが一生懸命活動している姿を見たり一緒に活動ができたからです。

ここで得られたことをこれから活かしていけるように、これから就職活動はじめ頑張っていきたいと思っています。

関さん プロフィール

日産のラーニング奨学生としてお世話になることになりました関幸恵と申します。私は短期大学で幼児教育を専攻した後、現在通っている目白大学に編入学をして、メディア表現を学んでいます。

ファンドをインターン先として希望したのは、短大で学んだ中で子育て支援に興味を持っていたので、そのような分野に深く携わっているファンドの活動に強く関心を持ち、現場の声を生で聞きたいと思ったからです。

微力ですが、精一杯活動していこうと思っていますので、よろしくお願いします。

関幸恵